§3.建設業「許可の種類」はどれに当てはまりますか?

①.「大臣許可」か「知事許可」か

②.「特定」か「一般」か

③.「法人」か「個人」か

④.「新規」か「更新」か「業種追加」か

①.「大臣許可」か「知事許可」

「大臣許可」とは、二つ以上の都道府県にまたがり営業所(見積り、契約、金銭の受領や支払い等、建設工事の請負契約に関する重要な業務を行う事務所)を設けるときに取得しなければならない許可です。

「知事許可」とは一つの都道府県の区域内にのみ営業所を設けるときに取得する許可です。従って、同一県内に二ヶ所以上の営業所を設置する場合でも知事許可ということになります。

 

よく質問されるのが

「知事許可でしたら県内の仕事しかできないのでしょうか?」といった類です。

私は次のようにお答えします。

「いいえ、営業所が一都道府県内に限るというだけで、他都道府県の仕事をしてもかまいませんよ」と。

例えば姫路市内に営業所を置く兵庫県知事許可の業者さんが岡山県や大阪府での仕事を受注することもできるということなのです。

 

②.「特定」か「一般」か

「特定」とは、建設工事の発注者から直接請け負った1件の建設工事について、下請代金の額が合計で3,000万円以上 (但し、建築工事業では4,500万円以上)となる下請契約を下請人と結んで施工させるときに取らなければならない許可です。

[例]特定建設業許可が必要なケース。

(ア)A社が発注者Bより7,000万円の道路改良工事を請け負う。

<下請>とび・土工工事業者Cに1,000万円

舗装工事業者Dに1,600万円

石工事業者Eに600万円

合計3,200万円(>3,000万円)

(イ)A社が発注者Bより7,000万円の住宅を請け負う。

<下請>大工工事業者Fに1,000万円

屋根工事業者Gに800万円

電気工事業者Hに1,000万円

管工事業者Iに800万円

内装仕上業者Jに1,000万円

合計4,600万円(>4,500万円)

但し、特定建設業許可を取得しているからといって、請け負った建設工事をそのまま一括して他人に請け負わせる契約は、 あらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合以外は禁止されています。

いわゆる丸投げは認められません。

[特定の要件]

□資格要件  次の7業種に関しては1級の資格者又は技術士法による技術士が必要です。

土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園

□財務要件

1.資本金が2,000万円以上であること

2.自己資本の総額が

4,000万円以上あること

3.欠損がある場合、その額が資本金の20%以内であること

4.流動比率(流動資産/流動負債)が75%以上あること

プロ技

上記の要件を満たさなくなった時は、

その要件の内容により

①資格要件が欠如したら、即座に「一般」新規、追加の申請をする。

②財務要件が満たなくなったら様子を見て「一般」新規、追加の申請をする。等

適切な措置を講じる必要が出てきますので注意が必要です。

行政書士は御社の許可の管理人でもあるのです。

「一般」とは、工事を下請に出さないですべて自社でするとか、たとえ出しても1件について3,000万円未満(但し、建築工事業では4,500万円未満)となるような場合の許可ですが、受注金額には制限はありません。

 

③.「法人」か「個人」か

建設業許可をとれるのは、「法人」「個人」を問いません。

「法人」というのは、株式会社、有限会社、合資会社、合名会社、協同組合、協業組合などを指します。
「個人」というのは、個人の事業者のことです。

プロ技

「個人」で許可をとって頑張っていた方が「法人成 り」により、株式会社となった等の場合、建設業の許可は改 めてとらなければなりません。
但し、経営事項審査や指名願の「営業年数」については合算できます。

プロ技

「一般」の建設業許可をとる手続きをする場合に おいては、財産的基礎を有すること、という要件上500万円以上の銀行等の残高証明が求められますが、500万円以上の資本金を持つ株式会社等を設立する場合、設立の1ヶ月以内に申請すれば残高証明書の添付は要しない取り扱いを受けることもできます。

 

④.「新規」か「更新」か「業種追加」か

「新規」とは新たに建設業許可をとる“新規の許可”のことで、次の3種類があります。

(1)全く新たに許可申請をする場合。または、以前に許可を受けていたのに有効期限が過ぎてしまったために許可が切れた場合。   (後者は「許可切れ新規」と言います)

(2)知事許可を受けている者が大臣許可に換える、またはその逆、あるいは兵庫県知事許可を受けている者が岡山県知事の許可に換えたいというように、許可を受けようとする行政庁以外の許可行政庁から、現在有効な許可を受けている者が許可申請をする場合。
(「許可換え新規」と言います)

(3)すでに「一般」の許可を受けている者が新たに他の業種で「特定」の許可を受けたいとか、あるいはすでに「特定」の許可を受けている者が新たに他の業種で「一般」の許可を受けたいという場合。 (これを特に「般・特新規」と言います)
「更新」とは、5年ごとの許可の更新のことです。建設業許可の有効期間は5年間で、許可のあった日の翌日から起算し5年後の対応する日の前日に満了します。
満了日の3ヶ月前から30日前までの間に更新書類を提出しなけばなりません。

プロ技

更新に際して、業種追加などにより許可の有効期間の足並みが揃っていない場合には、この際「一本化」をするとした処理もできます。この場合、他の許可は5年間より早く更新となってしまいますが、一本化により書類作成や証紙等の経費の大幅節約となります。